目標管理をうまく機能させる六原則

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私の愛しいアップルパイへ

目標をたてては失敗を繰り返し、ラオコーン像の如く苦悶に満ちた表情で立ち止まってしまったことが1度くらいはあるのではないでしょうか。そこで私が騎兵隊の如く颯爽とあらわれた次第であります。

目標管理をうまく機能させる六原則

私はプロジェクトのマネジメントにおいても、個人事業においても、個人的な生活においても、常に目標管理を欠かしませんでした。もちろん失敗するときもあれば、自分でも驚くくらい成功するときもありました。

私は仕事に限らず、個人的な生活全体において目標を掲げてそれを管理する手法をとっています。今日は、その目標管理をうまく機能させる六原則についてお話しましょう。

  • 原則1 目標管理は最優先事項を決めるために行う
  • 原則2 目標は自分でコントロールできる行動にする
  • 原則3 それぞれの目標の「なぜ?」を考える
  • 原則4 定期的に目標を見る
  • 原則5 成功を褒めず、失敗を責めない
  • 原則6 目標を実験的にしつづける

リッスン!

原則1 目標管理は最優先事項を決めるために行う

まずもってお話しておきたいのは目標管理の目的についてです。目標管理の目的を見誤れば、目標は機能することのない空中楼閣になるか、自分を縛る足枷になるかのどちらかに陥るでしょう。

なぜ目標管理などやるのでしょうか。人事部に説明するためでしょうか?理想的な将来像を夢見てヨダレを垂らすためでしょうか。もちろん違います。

あなたのような魅力的な人であれば、やるべきことはそれこそ無限にあるのでしょう。目標管理の目的とは、そのなかで最優先事項を明確にして、それに時間を使うために行うものです。自分の方向性に誤りがないかをセルフチェックし、惰性や怠惰に流されそうになったときでも最優先事項を優先するパワーを得るためのものです。

この目標の目的をきちんと理解しておけば、目標の管理方法が誤っていたときにもすぐに気づけるようになります。

原則2 目標は自分でコントロールできる行動にする

目標をたてるときは必ず自分でコントロールできる行動にしましょう

例えば、売上20%アップというのは目標としては不十分です。あなたが自腹で商品を購入する場合を除いて、売上は購買者の行動に属するため自分でコントロールできる行動ではないからです。

目標を掲げるなら、売上20%アップという結果だけでなく、その原因となる行動まで明確にするようにしましょう。新しい商品企画を3つ出すとか、陳列棚を見直すとか、売上データを分析して改善点を10個あげるとか、そういうことです。

「こうなったらいいなぁ」という妄想にはなんの意味もありません。世界は行動に報いるものです。

原則3 それぞれの目標の「なぜやるのか?」を考える

たてた目標はほとんどが「なにをやるのか?」に該当するでしょう。それだけでなく、「なぜやるのか?」もセットで考えておくことをオススメします。

体重を10kg落とすことを目標にしたとして、それをなぜやるのか自分自身に追求しましょう。人からモテるためでしょうか。健康を取り戻して長生きするためでしょうか。日々の生産性を高めるためでしょうか。大好きなテニスをもっとうまくなるためでしょうか。

目標はたてるのは簡単です。本当に難しいのは、日々の生活において目標という最優先事項を行動に移し続けることです。「なにをやるのか?」に加えて「なぜやるのか?」を明確にしておけば、苦しいときに自分で自分の背中を押すことができるようになります。

原則4 定期的に目標を見る

目標管理のありがちな落とし穴の一つは、目標を忘れることです。1年の目標をたてたとして、次に目標を見るのが1年後だったらどうでしょうか。ちゃんちゃらおかしいでしょう。

「原則1 目標管理は最優先事項を決めるために行う」を思い出してください。たとえ1年後に再会した目標がすべて達成できていたとしても、目標がうまく機能していたとは到底いえません。

1週間に1回でも、2週間に1回でも、せめて目標を開いて眺める時間をスケジュールに入れましょう。そのときにできれば目標の進捗を入力するとなお良いでしょう。もし目標を忘れてしまう落とし穴にはまりそうだったら、「定期的に目標を見る」こと自体を目標として掲げるのも良いでしょう。

原則5 成功を褒めず、失敗を責めない

目標管理が続かなくなる一番危険なタイミングは、1つの目標を達成するか失敗するかしたときです。

目標を達成すれば気分がよくなり、がんばったご褒美”として目標に反する行動をとりがちになります。そうすれば、次の期間で目標を達成するのは一層難しくなるでしょう。また、失敗したときも注意が必要です。目標に到達できないと分かればもうどうにでもなれ!”と思ってやはり目標に反する行動をとりがちになるからです。

成功を褒め、失敗を責めるとこのような負のスパイラルにはまり込むことになるでしょう。大切なのは褒めたり責めたりすることではなく、「原則1 目標管理は最優先事項を決めるために行う」にのっとって、最優先事項を優先しつづけることです。そして「原則3 それぞれの目標の「なぜやるのか?」を考える」で定めた価値観にそって生きることです。

もし目標達成に失敗しても(誰もが失敗するものだ!)罪悪感を覚える必要もやけっぱちになる必要もありません。次はもっとうまくいくやり方を探せばいいだけのことです。

これを忘れなければ、成功や失敗のたびに一時の衝動に流されて目標を自ら遠ざけるような行為に走ることを防げます

原則6 目標を実験的にしつづける

目標をたてる行為が生活を窮屈にしている要因だと感じているなら、それは目標を掲げることに問題があるのではなく、目標の修正サイクルが自分に合っていないだけです。

何度もいいますが、目標管理の目的は将来像を固定することではなく、「原則1 目標管理は最優先事項を決めるために行う」の通り最優先事項を優先できるようになることです。

目標を行動に移せば景色が変わっていきます。景色が変われば最優先事項も変わるでしょう。ですから、景色が変わる速度に合わせて目標を修正するサイクルを作ることが大切です。

目標と実験は決して相反する考え方ではありません。実験的な目標というやり方も可能だということです。いえ、むしろその方がずっと多くの実験を繰り返せるようになるはずです。

想像力を行動力に変える

今日は私が目標管理するうえで特に重要視している六つのことをお話しました。

  • 原則1 目標管理は最優先事項を決めるために行う
  • 原則2 目標は自分でコントロールできる行動にする
  • 原則3 それぞれの目標の「なぜ?」を考える
  • 原則4 定期的に目標を見る
  • 原則5 成功を褒めず、失敗を責めない
  • 原則6 目標を実験的にしつづける

望んだからこそ得られるものは無数にあります。誘惑に負けそうなとき、もう無理だと逃げ出したくなったとき、優先度の低い依頼を押し付けられそうになったとき、事前に自分の望みを明確にしておけば底力を発揮できるようになります。

目標とは端的にいえば、夢へと向かうプロセスを想像することでしょう。その想像が正しいかどうかは別としても、想像するという行為自体に人を行動に突き動かすパワーが秘められています。想像力は行動力に変えることができるのです。

目標管理によって、想像力という人間だけが備える偉大な力を刺激すれば、それは可能です。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。