憧れのインダストリアルメタル・バンドMinistryのワンマンライブにライプツィヒで参戦!感激の夜!

私の愛しいアップルパイへ

昨日よりベルリンを離れてドイツの中でも大都市であるライプツィヒに来ています。目的はいくつかありますが、一番の目的というかライプツィヒに行くことを決めたきっかけはアメリカのインダストリアル・メタルバンドの雄、Ministryが来るからでした。

あれは確か14歳の頃、初めて聴いたMinistryのソングは聖歌隊がミサで歌う讃美歌よりもずっと甘美に響きました。惰性的に学校に通っていて本当にこのままでいいのかと考えていた私に素晴らしいインスピレーションを与えてくれました。

それから彼らのようになろうと、zoomのMTRを使って見よう見まねで我武者羅に作曲し始めたものです。

イギリスのインダストリアルをアメリカで開花させたMinistry

70年代にロック発祥の地であるイギリスで消費主義によりそって商業主義と化したロックへの反発として生まれたのがインダストリアルなるジャンルでした。流れとしてはパンクと同様の流れで、そういう意味ではパンクの兄弟とも言えます。

しかし、その音楽性は対極のものでした。電子楽器やノイズなどを積極的に取り入れた極めて前衛的で実験的な音楽として成長していったのです。それは従来の音楽の常識を打ち破るもので、当時の商業ロックと比べて実にアーティスティックでクリエイティブな活動でした。

それを80年代にアル・ジュールゲンセンを中心として結成されたバンドMinistryがアメリカに輸入する形でインダストリアル・メタルを開花させました。彼らはイギリスの前衛的なインダストリアルの表現形式と、当時アメリカで確立されつつあったスラッシュメタルを融合させ、独自にインダストリアル・メタルを確立したのです。

▼インダストリアル・メタルの原点として名高い「The Land of Rape and Honey」

それはスラッシュメタルの持つ原始的な暴力性に加えてインダストリアルの持つ実験性と創造性を兼ね備えた、実に刺激的な音楽に昇華されました。彼らは81年に結成して依頼、40年近くに渡ってこの実験的で挑戦的な音楽を一貫して続けているのです。

私はインダストリアルおよびインダストリアル・メタルを聴いて、私が生まれる前からこのような活動をしている奴等がいると知って、興奮しっぱなしでした。

ライプツィヒで憧れのバンドMinistryのヨーロッパツアーに参戦!感激の夜!

私は吟遊詩人の歌を聴いてオリュンポスの神々について思いを馳せる古代ギリシャの人々になったかのように、Ministryのアルバムを聴き漁ってきました。私が彼らの音楽を知ってから20年近くが立ちますが、なんとも残念なことに(私が知る限りでは)彼らが来日することは一度たりともありませんでした。ですから、私は本当に神々の世界のような別世界の出来事だと思っていたのです。

転機が訪れたのは2017年末でした。私は私がオリュンポスの神々だと思っていた数々の伝説のバンドたちの数多くがまだ現存していることに改めて気づきました。そのきっかけはDavid Bowieの死だったように思います。私は2016年のDavid Bowieの死に激しく悲しみました。一方で、まだ現存している生ける伝説が多くいることに、そして彼らがいつ居なくなってもおかしくないことを痛烈に実感し始めました。

クラフトワークもノイバウテンもキャバレー・ヴォルテールもFront 242も、そしてMinistryも同じ空の下で活動しているのです。これは私がヨーロッパへ移住する強い動機の一つとなりました。

かくして私は2018年4月にドイツ・ベルリンへと移住するに至りました。そして3ヶ月後、ニューアルバムを提げたMinistryがベルリンからほど近いライプツィヒへやってきたのです。この感動が伝わるでしょうか。

▼5年間の活動休止の後、2018年にリリースされたニューアルバム「AmeriKKKant」

気付けば私はライプツィヒに降り立っていました。

▼会場であるTäubchenthalに集結せしダイハードなファン達。

▼ステージ目の前でMINISTRY登場!MINISTRY常連となったSin Quirin 、Static-XのTony Camposが現われます。Woooooo!

▼そしてついにMinistryのフロントマン、アルおじさんことAl Jourgensenの登場!今まで画面越しに見てきたヒーローが目の前にいる感動!

▼楽器構成はボーカル(Al Jourgensen)、エレキギター ×2(Sin Quirin, Cesar Soto)、エレキベース(Tony Campos)、ドラム(Aaron Rossi)、キーボード(John Bechdel)、DJの計7名でフル構成。

▼ 「AmeriKKKant」を中心にライブでもMinistryらしいインダストリアル・メタルを堪能できました。ジーザス!

▼Antifa(Anti-facism)およびアンチ・トランプ政権を前面に押し出した暴力的で破壊的なライブ!ウットリするような90分でした。

インダストリアル・メタルのジャンルを確立した1989年の「The Mind Is a Terrible Thing to Taste」、1992年の「Psalm 69」あたりの楽曲も取り入れたファン歓喜の素晴らしいライブでした。

私は中学生の頃に初めて彼らのソングを聴いた時の初期衝動を取り戻し、高揚感に包まれました。ヨーロッパに移住して本当に良かったと心底実感できた一日でした。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。