Linkin Park(リンキン・パーク)の解説とおすすめアルバム3選

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先日、2017年7月20日にLinkin Parkのボーカルであるチェスター・ベニントン(Chester Charles Bennington)が41歳の若さでこの世を去りました。自宅での自殺だったそうです。

Linkin Parkの今後の活動がどうなるかは判明しておりませんが、このハードロック史を牽引してきた偉大なるロックバンドのあなたにも紹介したく、筆を取った次第であります。Linkin Parkというバンドの紹介に加え、私がおすすめするアルバムをご紹介するので、ぜひ手にとってみてください。

ラップ・ロックを拡張したバンド「Linkin Park」

Linkin Parkが結成されたのは1996年、当時は「Super Xero」という名前でした。1998年に当時のリード・ボーカルが脱退したことをきっかけに、新しいリード・ボーカルを探すためのオーディションが行われ、その結果加入したのがチェスター・ベニントンでした。

オーディションでは、チェスター・ベニントンの素晴らしい歌声を聴いて他の候補者達が舌を巻いて帰って行ったという逸話もあります。

その後、2000年にワーナーと契約を締結してデビューします。それまでにバンド名は「Super Xero」→「Xero」→「ハイブリッド・セオリー」と変化しておりましたが、ワーナーに同名のバンドが所属していたことを受けてバンド名を「LINKIN PARK」に改名します。

Linkin Parkの音楽性といえば、当時、Rage Against the MachineやLimp Bizkitが開拓してきたラップ・ロックというジャンルを独自解釈し、さらに拡張させたような音楽が特徴的です(この2つのバンドは犬猿の中なので並べるのは少し気が引けます…)。ちなみにラップ・ロックは日本でだけは独自に「ミクスチャー」と呼ばれることもあります。

ラップ・ロックとはヒップホップの要素をハード・ロックに導入したジャンルで、その名の通りロックの音楽性にラップをのせているのが特徴的です。Linkin Parkはラップ・ロックに電子音楽などの新しい要素をふんだんに取り入れ、ラップ・ロックを軸としながらもそれにとらわれない幅広い音楽性で人々を魅了してきました。

また、チェスター・ベニントンの歌声はロックというジャンルに止まらず高い評価を受けており、ロック系ボーカルの教科書として扱われることも多くあります。歌声はそこまで独自性はないのですが、卓越したテクニックを備えており、チェスター・ベニントンの歌声に惚れ込んでLinkin Parkにハマった人も少なくありません。

「Linkin Park」のオリジナルアルバム一覧

続けて、Linkin Parkが発表してきたアルバムは全部で9枚あります(ライブアルバムなどは除く)。通常のアルバムが7名と、リミックスアルバムが2枚です。Linkin Parkはリミックスアルバムの完成度も素晴らしいので、ここではこの2枚のリミックスアルバムも取り上げます。

▼2000年「Hybrid Theory」

▼2002年「Reanimation」(「Hybrid Theory」のリミックス)

▼2003年「Meteora」

▼ 2007年「Minutes to Midnight」

▼ 2010年「A Thousand Suns」

▼ 2012年「Living Things」

▼2013年「Recharged」(「Living Things」のリミックス)

▼ 2014年「The Hunting Party」

▼ 2017年「One More Light」

「Linkin Park」のおすすめアルバム3選

それでは上記9枚のアルバムの中から、私が一押しのアルバムを3つご紹介しましょう。これからLinkin Parkを聴き始めるのであれば、この辺りを押さえておくとLinkin Parkの魅力を把握できるはずです。

1.「Meteora」

Linkin Parkは別バンド名での下積みがあったこともありますが、Linkin Park名義としては1st Albumから順調な滑り出しでした。1st Albumである「Hybrid Theory」は2001年にアメリカで最も売れたアルバムとなり、Linkin Parkは一気にラップロック界のエースに踊り出ます。

さらに、2002年の2nd Album「Reanimation」(「Hybrid Theory」のリミックス)はリミックスアルバムながらもビルボード・アルバムチャート初登場2位を記録します。この成功によって、Linkin Parkが単なるラップロックの延長線上にいるバンドではないことを世に知らしめます。

※ちなみに「Reanimation」はDeftonesやKorn、Marilyn Mansonなど名だたるアーティストが参加していて、その形にとらわれないアルバムの形式は大変刺激的です。「Reanimation」は私も大好きなので、そちらもおすすめ!

「Hybrid Theory」、「Reanimation」に続いて2003年にリリースされたのが3rd Albumとなる「Meteora」です。この「Meteora」はLinkin Parkの初期の傑作の1つであり、Linkin Parkを代表するアルバムとしても認知されています。

作品の出来としても、その後のLinkin Parkの土台を作ったと思われる仕上がりになっており、これを聴かずにLinkin Parkは語れません。その分、今となってはLinkin Park作品としてのチャレンジングな要素はさほどないものの、最初に聴くアルバムとしては最適ではないでしょうか。おすすめです。

ネクストッ!

2.「A Thousand Suns」

続いてのオススメは2010年の5th Albumとなる「A Thousand Suns」です。「Meteora」によって音楽性の軸が固まり、一通りの成功を収めたLinkin Parkが次に手掛けたのがこの「A Thousand Suns」です。

この「A Thousand Suns」は電子音楽の要素をふんだんに取り入れて、良い意味で従来のラップロックの概念を完全に拡張した仕上がりになっており、その緻密な作りには感嘆のため息が溢れます。

ちなみに私がLinkin Parkに本格的にはまったのは「A Thousand Suns」でした。というのも、正直なところ「Meteora」までは”ミーハーなRage Against the Machine”といった印象が色濃く、あまり良い印象がありませんでした。

ラップロックは1990年代はじめからのムーブメントであり、そういう意味でLinkin Parkはかなりの後発であり、少なからず”いまさら感”が拭えないものがありました。それが「A Thousand Suns」によって良い意味で突き抜けた感があり、ハードロック特有の激しさは鳴りを潜めたものの、何度聴いても飽きない”完成度の高い実験”を堪能できます。おすすめです。

ネクストッ!

3.「The Hunting Party」

個人的に一番気に入っているのが2014年の8th Album「The Hunting Party」です。「Meteora」や「A Thousand Suns」などを通して一通りの実験が終わったLinkin Parkがその集大成的に作り上げたのがこの「The Hunting Party」です。

Linkin Parkの中心人物でもあるマイク・シノダもインタビューで答えていますが、「15歳のガキだった自分が聴いてもカッコイイと思えるものを作ろうとした」と答えています。

つまり、皮肉にもロックというものがほとんどポップスに成り下がってしまった昨今、もう一度パブリック・エネミーやアンスラックスなどに熱狂していた頃の原点を形にしたかったということです。

実際「The Hunting Party」はそれがうまいこと形になっており、純粋なラップロップが「Meteora」「A Thousand Suns」を経て高いレベルに止揚された感があります。とても熱い一作です。

ゲストとしてRage Against the MachineのTom MorelloやSystem of a DownのDaron Malakianが参加しているのも見逃せません。

ネクストッ!

いまこそハードロックを牽引してきた伝説のバンドを聴きなおそう

Linkin Parkが活動を休止するのか、新しいメンバーを受け入れて活動を続けるのかは現時点では分かっていません。しかし、初期メンバーでもありリードボーカルでもあるチェスター・ベニントンが亡くなったいま、1つの大きな区切りを迎えたことは事実です。

このタイミングでぜひLinkin Parkに触れてみてはいかがでしょうか。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。