私の愛しいアップルパイへ
ベルリンでまた一つ素晴らしい体験をしました。10代の頃から聴いていたイギリスのバンド「Killing Joke」のライブについに行くことができたのです。彼らは1970年代後半を象徴する伝説なバンドで、まさか彼らのライブを生で聴ける日が来るとは思ってもいませんでした。
この素晴らしい夜について興奮とともにあなたにご報告しましょう。
ポストパンク&インダストリアル・ロックの代表的バンド「Killing Joke」
「Killing Joke」をご存知でしょうか?え?存じ上げない?それはいけない!
「Killing Joke」は1978年にジャズ・コールマン(Vo)、ポール・ファーガソン(Dr)、ジョーディー・ウォーカー(Gt)、マーティン・ユース・グローヴァー(Ba)の4人で結成されたイギリスのバンドです。
この時代のイギリスというのは間違いなく音楽の時代を築き上げた最先端の国で、1960年代にロックが世界を制覇すると、1970年代前半にはすでにファンクとパンク、そしてキャンプ(音楽に大げさな演技や振る舞いを持ち込んだスタイル)が生まれるような、実に目まぐるしい時代でした。
1970年代後半に差し掛かる頃には既にロックはやり尽くされ、ビジネスマンの手によってロックが商業化されて窒息死しそうになりつつあることに加えて、当時のイギリスの政治的・宗教的不安も相まって実に鬱屈とした時代でした。
そんななか、 エレクトロとシンセポップとファンクといった実験的なサウンドにゴシックロックをミックスして、ポストパンク時代を代表するジャンルである前衛的なジャンル「インダストリアル」の走りとして頭角を現してきたのがKilling Jokeだったのです。
パンク風の反体制、反ロックの意識を滲ませ、そこに前衛的なエレクトロの手法を取り入れ、鬱屈としたゴシックロック風のどこかメランコリックな実験的サウンドは当時の状況を音楽的によく表現した優れた音楽でした。
1978年のバンド結成以降、数回の活動休止はあったものの40年にわたってオリジナルメンバーで活動し続けています。2015年にはニューアルバムもリリースされ、現在(2018年10月)はバンド結成40周年を記念するツアーのために世界をまわっています(残念ながらそのツアーに日本は含まれていません。彼らのようなレジェンドも日本ではほとんど知名度がないからでしょうから…) 。
彼らの新しい時代を切り開いたサウンドはその後オルタナティブへとつながっていき、現代でもMetallica、Nine Inch Nails、Soundgarden、Jane’s Addiction, Faith No More, My Bloody Valentine, Nirvanなど名だたるアーティストたちから支持されています。
オススメアルバムは1978年にリリースされた最初のEPである「Turn to Red」と、1980年のデビューアルバムの「Killing Joke」、そしてイギリスのチャートのトップ20にもランクインした1982年の3rdアルバム「Revelations」でしょう。どれも初期のアルバムですが、当時のKilling Jokeらしいユニークなサウンドが全面的に表れている名盤です。
▼Spotifyでも視聴できるのでこちらもどうぞ。
Killing Jokeの40周年ツアーのライブに感動したベルリンの夜
2018年10月19日、短い秋が終わりつつあり、空気の冷え始めたベルリンにKilling Jokeが来るということで私は胸を躍らせていました。エレクトロの生みの親にして現代でも最先端を走るドイツ・ベルリンとKilling Jokeのサウンドはさぞ相性が良いのでしょう。
恐らく厳密には当時のサウンドとは違うにせよ、それでも10代の頃から憧れていたバンドのオリジナルメンバーでのライブを生で聴けたのは私に音楽的な霊感をもたらしてくれる素晴らしい体験となりました。
▼しかも会場は私の家から歩いて15分の場所!若者の街と呼ばれるクロイツケルンにある1,000以上入れる中規模なライブハウス「Huxleys Neue Welt」です。最寄りはHermannplatz駅。
▼いよいよKilling Jokeのライブ!胸が高まります。
▼会場は二階席もあり、ほとんど満員。Killing jokeベルリンでも人気あるなぁ!Wow!
▼前方の方のサウンドは最高でした。Killing jokeは思っていた以上にライブバンドでした。Woooooo!
▼ライブはジャズ・コールマンらしさの光るパフォーマンスでした。Cooooool!
▼選曲はニューアルバムを中心に代表曲も多く取り入れたファン歓喜の選曲でした。Greeeeeat!
ベルリンに移住して来てよかった。心からそう思った夜になりました。
貴下の従順なる下僕 松崎より