タスク管理では第Ⅱ領域をどう判断するのか?意外と知られていない第二領域の見極め方〜jMatsuzakiに聴いてみよう!vol.2〜

この記事はjMatsuzakiへのインタビュー内容をライターであり音楽家でもあるhaLuna(ハルナ)さんに記事としてまとめていただいた特別寄稿記事です。jMatsuzakiのリアルな生き様や具体的なライフハックの実践方法、Burning!な人生哲学について新鮮な切り口切り込んでいただいたシリーズ記事ですのでお楽しみください!

jMatsuzakiさんのブログをご覧のみなさま、こんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
音楽家でライターのhaLuna(ハルナ)です。
今回も、タスク管理についてのjMatsuzaki氏インタビュー記事をお届けします!

前回はjさんに割り込みタスクについてのお話を伺いましたが、その中でも重要となってくる第Ⅱ領域の見極めについて、さらに深くお話を聞いてきました。

※「第Ⅱ領域」とは、名著「7つの習慣」にある時間管理マトリクスで語られているもので、”緊急ではないけど、重要なこと”を指します。

そもそも第Ⅱ領域(重要なタスク)とはなんなのか

前回のお話の最後に、haLunaが「第Ⅱ領域と第Ⅰ領域をどのように分けて考えるべきなのか迷ってしまうことがある」という疑問を投げかけました。
それは、重要度とはなんなのかという疑問です。

緊急度というのはある意味、判定するのはそんなに難しくなく感じます。

 

「緊急度の高い・低いはとてもシンプルで、やらないことによってトラブル、悪い影響がおこるかどうか。社会的に信用がおちたり、健康を害したりなど、生活の質を下げるような明らかなマイナスが起きることです

 

たとえば、

  • 病院に行く、入院するなど明らかに健康を害すること
  • 会議に遅刻をして社会的信用が落ちること

などがそれに該当します。とてもわかりやすいですね。
では、重要度のほうはどう考えればよいのでしょうか?

 

「これはすごく厳密な考え方でいうと、ミッションステートメントに書かれているかどうかなんです」

ミッションステートメントと第Ⅱ領域の関係

「時間管理マトリクスというのは、『7つの習慣』でいうところの第3の習慣といわれているものですが、その前には当然、第2の習慣というものがあります。
では第2の習慣が何かというと、目的を持ってはじめる、終わりを描くことからはじめるという習慣になっていて、その中で重要なキーとして出てくるのが、ミッションステートメントなんですね」

第2の習慣にまで遡って考えると、第Ⅱ領域でいうところの“重要”とは

  • ミッションステートメントに書かれていること ないしは
  • ミッションステートメントに直接関係すること

なので、迷った時は一旦ミッションステートメントに立ち戻って、重要かそうでないかという判断をすればいい、ということになります。

あらためて、第Ⅱ領域について振り返ってみよう

前回の記事でご紹介した「日報」の例(※緊急タスクを予防するための対策)でいうと、それそのものの緊急度は高くないといえます。
なぜなら、日報を提出するというタスクははトラブルの予防として主体的に始めたことなので、たとえ一日落としたところで信用は落ちないはずだからです。

では重要度的にはどうかというと、その仕事がミッションステートメントとどれだけ深く関わっているか自問することで見えてくる、とjさんは言います。

 

「僕は、最初の会社でそのようなこと(ミッションステートメントとの関わり)を考えたときに、今の仕事って重要じゃないなっていうことに気づいてしまって。
で、辞めることを決断したっていうね」

 

な、なるほど! そういう判断に行くこともあるんですね……!
タスク管理を突き詰めたら、人生の転換に至るというまさかの展開にびっくり。

まさに、タスク管理がミッションステートメントに紐づいていることによって人生そのものに関わってくるお話を聞いて、またしても思わず我が身を振り返ってしまいました。

仕事が『第Ⅲ領域』になっていることに気がついた

中には、今携わっている仕事だからという理由で、仕事を続けていくためには信用を得つづけなければいけない、と考えている人も多いと思います。
そのために(上記の例の「日報」のような)一手間タスクを加えてこなしている。けれど、ミッションステートメントに照らして考えてみて実は仕事そのものが自分にとって重要じゃなかったというところに気づいた場合、その仕事から離れるという判断もありうるというわけですね。

 

「自分の場合は、最初に入った会社では生活をするために、お金のために働いていたんです。一人暮らしだったので、生活費を稼がなければいけないっていうことで。
でもそれって、明らかに緊急度が高いんですよね」

 

つまり、仕事の選択そのものが緊急であることからきているということに、jさんは気がついたのだそうです。

 

「じゃあ、ミッションステートメントと照らし合せてその仕事が自分のミッション(使命)に基づいているかっていうと、基づいていなかった。と結論づけたんですよね、僕は。
つまり、仕事全体が緊急度は高いけど重要度は低い、第Ⅲ領域だったんです」

 

そうか、この場合は第Ⅰ領域ではなく第Ⅲ領域になるんですね!

 

「そこで、ひどく後悔と反省をしまして。仕事がすべて第Ⅲ領域になってしまっている現状をどうにか変えよう、というところから動き出せたという」

 

タスクを見直すことが、自分自身を見つめるきっかけになったということなんですね。
とても興味深いお話です。

第8の習慣:偉大な仕事に就くということ

ところで、生活のためにとはいえ、割り切って納得をしてその仕事をしている人もそれなりにいると思いますが、捉え方によって第Ⅱ領域にすることができることもあるんでしょうか。
たとえば、生活のためにお金を稼ぐことが家族を養うことになるとか、あっでも、うーん、それはやっぱり緊急っていうことになるのかな……。

 

「そうですね、現実問題としてその仕事がなかったら生きていけないにしても、その仕事に対する第一のモチベーションが『その仕事をすることによって、世界に貢献することになる』ということであれば、それは重要なこと
それをなんのためにやるかっていう、目的の部分ですよね」

 

ここでもやはり、第2の習慣の“目的を持ってはじめる”につながるんですね。

……ということは、この考え方(7つの習慣)に基づいていくと、少なくとも日本では一定数いるであろう「仕事と、趣味や生きがいは別」と割り切ってお金のために仕事をするという考え方は「ナシ」なのでしょうか?
もちろん、その中でも仕事に対してモチベーションや矜持を持っている人は「第Ⅱ領域」の仕事をしていると言えると思うんですけども、そうではなく一日8時間なりを“我慢”してお金をもらうのは……?

 

「うん、もったいないと思います。要は、天職に就いてないですよね、その人は」

 

たしかに、役に立っていない仕事は世の中に一つもないとは思うのですが、とはいえそこに自分自身が入り込める何かがないと辛いかもしれませんね。

 

「そうなんですよね。
実は、『7つの習慣』のあとに『第8の習慣』というのが出たんですけど、その中ですごく重要なキーワードとして“偉大さ”というものが出てきます。
その中では、自分の内なる声に基づいて、偉大な仕事に従事していくことの大切さが説かれているんです。
どんな仕事であれ無駄な仕事はないにせよ、自分が偉大だと思える仕事に就くと。ここが一番の核かなという。
それがたとえ社会的にみてしょぼい仕事だとしても、自分が『この仕事は偉大なんだ!』と思えればいいと思うんです。でも、逆だと悲惨ですね」

 

たしかに、社会的にみれば偉大に見えても、自分にとってはお金を稼ぐためのものでしかないというのは、悲惨ですね。
私自身も、「この仕事は自分にとって偉大だろうか?」という問いかけを常に持ち続けたいものです。
私の場合は、自分の心に適った仕事をすることが鍵になってくるのかなあ、などと思いつつお話を聞いていました。

 

参考:完訳 第8の習慣 「効果性」から「偉大さ」へ/スティーブン・R・コヴィー

 

次回予告:ミッションステートメントについて

今回は「まさか、こういう話になっていくのか!」と、全く予想しないほうへと展開したインタビューでした。
タスク管理をテーマに連載を始めさせていただきましたが、タスク管理がいかに信条や生き方、人格、そして天職といった、人生そのものに直結するものなのかが垣間見えるような時間でした。
jさんがタスク管理をこれほど大切にされている理由がわかってきたような気がします……!

 

さて。ところで私は、ミッションステートメントを作っていません。
それには“ある理由”があるのですが……やっぱり、ミッションステートメントは作るべきなのか?
次回は、自分の「書かないでいる理由」を直接jさんにぶつけつつ、ミッションステートメントについて伺ったことをお届けします!
今回も、お読みいただきましてありがとうございました。ではまた次回!

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。