Evernote vs Notion vs ScrapBox vs Roam Research vs Obsidian

私の愛しいアップルパイへ

メモアプリ、ノートアプリというのは私たちのような高度な頭脳を駆使する仕事が求められる夢見るリアリストにとっては、相棒のようなものです。

私も数々のメモアプリ、ノートアプリを使ってきたつもりですが、シンプルでエレガントなメモ環境を構築するのは決して簡単なことではありません

結局、どのアプリを使うのがベストなのでしょうか?ノートアプリの迷宮にあなたが迷い込まないようにするために、現在の私の結論をあなたにお話ししましょう。

第二の脳の構築を目指して使っている5つのアプリ

第二の脳を高らかに謳ったシリコンバレーのユニコーン「Evernote」以来、有象無象のメモアプリ、ノートアプリがTCP/IP網の上に展開されました。

この第二の脳を外部に構築するというなんとも胸がデレッと甘くなるようなユートピアに誘われ、私は現在、以下5つのアプリを用途に応じて使い分けています。

ちなみに、第二の脳を作るというのは、つまり考えるためのメモアプリ、ノートアプリということです。知識をまとめ、整理し、体系化し、新しい洞察へとつなげることを意図しています。単純に忘れないようにメモしておくためのアプリではありません。買い物リストや作業手順などはさらに別のアプリを使っています。

ただそのために5つものアプリを使うのはなんともトゥーマッチな感じがしますでしょうか。その通りです。そこで私はもう各サービスの特徴は分かったということで、EvernoteObsidianの2つに統合していくことに決めました。

なぜかって?それぞれの特徴を比較していきましょう。

Evernote vs Notion vs ScrapBox vs Roam Research vs Obsidian

それぞれのサービスの特徴について触れながら、メリットとデメリットについて簡単に解説し、最後に総評ということで最終的にどのメモアプリ、ノートアプリがオススメかを見ていきます。

Evernote

Evernote

私が考えるに「Evernote」は当初掲げていた「第二の脳を作る」というコンセプトに完全に失敗したと思います。動作が重いことは昔から批判されていましたが、2012年に”ユニコーン”と呼ばれて以来ほとんどまともな進化を遂げてきませんでした。

考えるためのノートには軽快な動作に加えて、ノート間をリンクで接続し、リンクとバックリンクを整理する機能が不可欠です。また、新しい洞察を得るためのグラフィカルなビューも備えていることが望ましいでしょう。そのいずれの機能もEvernoteは満たしていません。

ではEvernoteを選ぶ理由は何もないかというと、そうではありません。Evernoteの強みは先行者であったことであり、その一番の機能は外部連携の豊富さにあります。Evernoteで第二の脳を作ることは完全に諦めて、外部サービスに散財した情報を統合し、横断検索できるようにするところにEvernoteのほとんど唯一の存在価値があります。

メリット

  • 無料でもある程度使い込める
  • 豊富な外部サービス連携とマルチメディア対応
  • 豊富な容量を提供しており、大量データを扱える(有料プラン)
  • 紙の資料も含めたあらゆるデータを取り込んで横断検索できる
  • パソコン、Web、スマホの全プラットフォームに対応

デメリット

  • リッチテキスト(ノートのフォーマット)機能が貧弱
  • ノート間のリンク、バックリンクが貧弱
  • メモを体系的に整理したり、新しい洞察を得る機能が貧弱
  • ノート数が数万件を超えると動作が著しく劣化する

Notion

Notion

近年「Notion」は不甲斐ないEvernoteの代替になるのではないかという期待とともに歓迎されました。Notionを一言で説明するならプライベートなWikipediaです。

Evernoteとは比べ物にならないほどリッチなフォーマットでノートを作ることができ、情報を整理するためにこれ以上ないくらい見易いノートを作成できます。

また、チーム間でノートを共有する機能に優れており、分かりやすく整形したノートを手軽にチーム間で情報共有できることには、新たな可能性を感じます。

しかし、考えるためのノートは決してWikipediaとは違います。メモを取ったり、それを整理したり、体系化したり、新たな洞察を得るためにNotionは少々煩わしく、シンプルさに欠けます。第二の脳として、考える補助となるようなノートを考えたとき、Notionに感じる「これじゃない感」は大きいです。

メリット

  • 高度なリッチテキスト(マークダウン、テーブルビュー、リストビュー、ボードビューなど)
  • 個人用途なら無料でもある程度使い込める
  • チーム間の共有機能が豊富(有料プラン)
  • パソコン、Web、スマホの全プラットフォームに対応

デメリット

  • 外部サービスとの連携は貧弱
  • シンプルさに欠け、思考を手早くメモするには煩わしい
  • ノートの整理はフォルダ分けがメインであり、ノート間のリンク、バックリンクが貧弱

ScrapBox

ScrapBox

ScrapBox」は今日紹介する5つのサービスの中では唯一の日本産で愛着を感じます。上述した2つと違って、ノート間のリンクを重視している点で第二の脳として優秀です。

ノートの機能は箇条書きベースでシンプルですが、ノートのリンクとバックリンクは見易く、”第二の脳”という観点では悪ありません。テロメアと名付けられた行ごとの更新日時などユニークな機能も持ち合わせています。

残念なところは、PWAや第三者のアプリなどあるものの、基本的にはWebベースでありスマホ対応はまだまだです。また、私がどうしても受け入れがたいのは独自の記法で、特に見出しのマークアップに閉じタグが必要である点など、効率的なライティングを求める上ではストレスに感じます。

個人や非営利の場合は無料で使うことができます。企業がビジネスのために使うには有料です。

メリット

  • ノートのリンク、バックリンクが分かりやすい
  • 日本語に対応
  • チーム間の共有がしやすい
  • 個人 or 非営利目的なら無料で制限なし

デメリット

  • 独自の記法
  • メインプラットフォームはWebのみ
  • 営利目的の企業がチームで使う場合は有料
  • 常にノートが1つしか開けないレイアウト

Roam Research

Roam Research

2019年にリリースされた「Roam Research」はノート間のリンクから新たな洞察を得ることに特化したアプリで、特に「第二の脳」の構築に特化した新しいサービスです。見た目はDynalistに似ていますが、機能は思考のために特化しています。

一番の特色はデイリーノートを軸に思考を発展させていく設計思想で、毎日1枚のノートが自動生成されて様々なノートにリンクが繋がっていくボトムアップ方式の設計には感嘆させられます。第二の脳を求めるユーザー達からの絶賛の声も大きく、近年熱狂的なファンが集まりつつあります。

ノート同士をニューロンのように結びつけ、新しい洞察へと導く第二の脳としての機能であれば、ScrapBoxよりもRoam Researchに軍配が上がるでしょう。

残念な点は2つあります。1つはまだ新しいアプリなのでプラットフォームがWebだけな点。そして何より一番のボトルネックになるのは無料プランがない点でしょう。 Roam Researchは月額プランで$15、年額プランで$165(月当たり13.75$)とサブスクリプションサービスの中でも高価な部類に入ります。

Amazonプライムの3倍、Netflixの約2倍、Spotifyの役1.5倍であることを考えると、利用を始めることに躊躇してしまいます。

メリット

  • 知識をモジュール化してニューロンのように接続する第二の脳の発想に特化
  • デイリーノートを軸としたボトムアップ式の設計
  • ノート間が接続しやすく、リンク、バックリンクが分かりやすい
  • 箇条書きベースのシンプルな記法
  • サイドパネルを効果的に使った見易いレイアウト

デメリット

  • 無料プランが存在しない($15/月)
  • メインプラットフォームはWebのみ
  • チーム間の共有には不向き

Obsidian

Obsidian

2020年にリリース以来、Roam Researchの一番の対抗馬として注目される「Obsidian」は、Roam Researchと同じくノート同士をニューロンのように結びつけて思考をサポートする「第二の脳」を目指したアプリです。

一番の特色はWebではなくインストール型のアプリであり、データは全てローカルに保存される点でしょう。インストール型アプリならではの動作の軽快さと、柔軟なレイアウトが可能で、クラウド上にデータがないのでセキュリティの心配もありません

ノート間はシンプルなタグに基づいてリンクされ、バックリンクも分かりやすいです。一通りのマークダウンに対応していて、込み入った文章でも表現することができます。

それ以上にノート同士の連結をグラフィカルに表示してくれるOpen graph viewは爽快で、いつ見てもうっとりします。

Obsidian Graph View

また、新しいサービスながら外部連携や拡張のためのプラグインが豊富なのも嬉しいところです。Roam Researchのデータは完全な形でインポートできます。Daily notesプラグインを有効化すれば、Roam Researchのようなボトムアップ型のアプローチも使うことができます。

しかもRoam Researchと違い私的利用なら基本無料です。

個人的には、考えるためのノートアプリとしてRoam Researchよりも期待しています。

ただし、まだリリースされたばかりのアプリなので、スマホアプリがリリーされておらず、インストール型のアプリなので複数デバイスで使用するのは不向きです。

メリット

  • 私的利用なら基本無料
  • 知識をモジュール化してニューロンのように接続する第二の脳の発想に特化
  • インストール型のアプリで軽快かつ高度なセキュリティ
  • 柔軟なレイアウト(人画面で複数のノートを自由度高く配置できる)
  • デイリーノートを軸としたボトムアップ式の設計
  • ノート間が接続しやすく、リンク、バックリンクが分かりやすい
  • マークダウンベースのシンプルな記法
  • Open graph viewでノート同士の連結をグラフィカルに表示

デメリット

  • スマホアプリが無く、複数デバイス間の同期には不向き
  • チーム間の共有には不向き

総評

では、結局どのアプリを使えばいいのでしょうか?私の結論はEvernoteObsidianの2つに絞って利用することです。

Evernoteは第二の脳として考えるためのノートをまったく提供してくれませんが、未だデジタル化されたファイルキャビネットとしては十分に優秀です。ですから、脳の外側、つまり他人から送られてきたメールとか、重要な仕事のログとか、かつて作ったスライドとか、過去の他人とのやりとりなどを一箇所に集めておいて必要になったら横断検索する場所としての利用価値は十分にあります。

Obsidianは逆に脳の内側、つまり直接的に思考をサポートする第二の脳としてのメモ・ノートアプリとして現時点で最も優秀です。

2020年になってObsidianと出会えたことは、特に私のメモ・ノート環境において特別な意味を持っています。このアプリの存在によって、今まで決めかねていたツールの選定が一気に進み、環境をシンプル化することができました。

つまり、この記事はObsidianをあなたにも試して欲しいという理由で書いた記事ともいえます。

» Obsidianの利用はこちらから

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。