私の愛しいアップルパイへ
これまでZettelkastenを実践するコツについて市民ケーンのオーソン・ウェルズよろしく雄弁に演説をぶってきた訳ですけれども、今日もノートの書き方のコツについてご紹介できればと思い馳せ参じました。
ノートを書くときには新しい知識をインプットしたときが多いと思います。すると、そのノートの元になったソースとなる資料をどう管理するか、引用をどう管理するかという問題に直面するのではないでしょうか。
てなわけで今日は、ノートにまとめた内容のソース資料の参照管理について見ていきましょう。
ノートには完全な形で引用を明記する
Zettelkasten、ひいてはPKM(Personal knowledge management)においては、自分の知識をいかに永続的に使える形で書き残していくかが大切です。
そのための引用や参照の管理において推奨されるのは、引用元となるソースへの参照を完全な形で残しておくことです。
ソースを完全な形で残しておくというのは、以下3つの条件を満たす必要があります。
- 引用する場合には自分が考えた部分と明確に分けて書く
- 引用や参照した資料の出典情報を厳密に明記する(出版社、年代、ページ番号など)
- ソースとなる資料を紛失しないように保持しておく(特にPDFファイル)
自らの思考と他人の考えを区別し、他人の考えについては引用元を明確にしておくことは、そのノートを再利用可能にするために必要な条件です。
もし、完全な形で引用の管理がなされていない場合には、あとでノートを振り返りアイデアの源泉として活用するときにすぐに混乱を引き起こすことになります。
そのノートを読み返すことになる未来の自分は他人です。ノートの中身が自分の考えと引用が不明確になっていると、ノートを再利用する柔軟性が失われます。他人が読んでも混乱しないノートを作っておくことは、未来の自分を助けてくれます。
引用部分と引用元が明確であれば、あとからそのノートを参照したときに適切に追加の調査ができるようになるので、知識を拡張していくうえでも有用です。
適切に参照管理がなされていればAtomic Notesを部品として再利用しやすくなります。
Mendeleyを使って参照管理をする
そうなるとノートを書くときには出典元への参照となる情報を頻繁に扱うようになります。出典を明記するたびに書籍のタイトルや発行年、著者や出版社などの情報を適切な形式にして羅列するのは面倒です。
そこで、私はそのような参照管理の専用ソフトであるリファレンスマネージャーの中でも代表的なソフトウェアである「Mendeley」を利用しています。
リファレンスマネージャーには他にもBibDeskやzoteroを始めいろいろなソフトウェアが存在するのですが、代表的なソフトウェアの中でもMendeleyは特に使いやすいので気に入っています。
Mendeleyはクラウドサービスなので、複数のデバイスで執筆する場合にも重宝します。
▼ノートを書くうえで参照したWebの記事などがあれば、ブラウザの拡張機能でワンクリックで参照情報を生成し、自分独自のデータベースに保存することができます。書籍や論文のPDFファイルについてもいくつかの項目を埋めるだけで簡単にデータベースに保存してくれます。
特にPDFファイルなどはファイルを紛失してしまいがちなのですが、Mendeleyであればレコードにファイルを添付することができます。
▼ノートに参照情報を追加したいときには、Mendeleyに保存されたレコードをコピー&ペーストするだけです。
▼すると、このように指定した形式に基づいた参照用のコードを生成してくれます(以下はMultiMarkdownに最適化していますが、項目や形式はXMLを使ってかなり細かくカスタマイズできます)。
参照情報の管理と重要性についてはダイハードなZettelkastenの実践者であるChristian Tietzeの記事にも詳しく書かれており、参考になります。1
Mendeleyなどの参照管理ソフトウェアは主に論文を執筆する人を対象としていることが多いですが、Zettelkastenなどの個人の知識管理においても十分に有用です。最初は面倒に思うかもしれませんが、慣れればさほど手間ではありませんし、適切に管理された参照情報のデータベースが溜まってくると長期的には執筆が効率的になります。
▼このように参照元の情報が明確だとこのようにノートをシンプルに保てますし、あとで読み返しても追加調査しやすいです(愛用しているノートアプリはObsidian)。Gooooood!
貴下の従順なる下僕 松崎より