スタンフォードの自分を変える教室の要約と感想

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私の愛しいアップルパイへ

やりたいことを実行に移せない。やりたくないことを辞められない。なにかをやろうと思えない。そんな悩みを抱えたことは1度ではないはずです。

さぁ、立ち上がりなさい!「意志力がない…」なんて餌を取り上げられたペルシャ猫みたいにふてくされるのはあなたらしくありません!

意志力がないのは性格の問題でもなければ、やる気の問題でもありません。なぜそんなことを断言できるかって?それはケリー・マクゴニガル氏の「スタンフォードの自分を変える教室」を読んだからですよ。

スタンフォードの自分を変える教室の要約と感想

意志力とは、脳の前頭前皮質という領域によってコントロールされているそうです。簡単に言うと、あなたにやるべきことをやるように仕向けることが、意志力の機能です。

本書では「やる」「やらない」「望む」力を意志力とし、それを自己コントロールする方法について解説してくれます。

  • やる力 … 前頭前皮質の上部左側の領域がつかさどっている。難しい仕事に着手してやり続ける力
  • やらない力 … 前頭前皮質の上部右側の領域がつかさどっている。衝動や欲求を感じてもすぐに流されないようにする力
  • 望む力 … 前頭前皮質の中央より少し下の領域がつかさどっている。目標や欲求などの望みを記録する力

今日は本書のなかでも特に私の胸を打ったポイントをご紹介しましょう。

意志力が最も高まるのは朝である

意志力は体力と同じように使うと消費されていきます。私たちの身の回りはなにかをやるにしても、やらないにしても意志力を必要とするものばかりです。

研究結果によると、自制心が最も強いのは朝で、時間とともに衰えていきます。ですから、仕事終わりにジムにいったり、家族と大事な話をしようとしたりしても、意志力は空っぽになっているかもしれません。

もし意志力が必要ななにかを実行に移したいなら、なるべく朝はやくに手をつけたほうがいいでしょう。

空腹だと衝動に負けやすくなる

意志力が消費されるものだとして、回復することはできないのでしょうか。それが、できるのです。糖分を摂取することで血糖値を上げれば、意志力を回復させることができます。逆に血糖値が低い状態では、衝動に負けやすくなることが研究によって分かっています。空腹だと衝動的な行動に出やすくなるということです。

とはいえ、甘いものを大量に食べればいいかというとそうではありません。大量に糖分を摂取して血糖値を上げたからといって、それを適切に意志力のために使えるとは限らないからです。エネルギーは脳だけでなく体全体が欲しているものですから。

やたらに糖分をとれば、血糖値が急に上がったり下がったりして糖分をきちんと消費できなくなります。血糖値が高いのに、意志力が低い状態になるということです。

より良い方法は、持久性のあるエネルギーを与えてくれる食べ物を摂取することです。それは血糖値を一定に保つための「低血糖食」です。具体的には、脂肪分の少ないタンパク質、ナッツ類、豆類、食物繊維の豊富な穀類やシリアル、果物や野菜など、素材そのままで添加物が入っていない食品です。

性格を変えるのではなく、食生活を変えるだけで意志力が高まるのですからこれは衝撃的な発見です。

意志力は鍛えることができる

意志力を使って自己コントロールする力は、生まれながらの才能によって決められているものではありません。というのも、意志力は筋肉と同じように使えば使うほど鍛えられるからです。「やる力」「やらない力」「望む力」を日常的に駆使していると、意志力は増強されるのです。

目標をたてて実行したり、将来のヴィジョンを思い描いたりすることで、着実に意志力は増強されていくのです。

また、本書で簡単に意志力を高める方法として紹介されているのが「瞑想」です。瞑想をおこなうことで、注意力、集中力、ストレス管理、衝動の抑制、自己認識といった自己コントロールのさまざまなスキルが向上します。

ある研究では、瞑想の練習をたった3時間おこなっただけで、注意力と自制心が向上するという結果が見られたそうです。

▼以下の記事では私なりの瞑想のコツをまとめていますので、ご興味あればどうぞ。

選択した瞬間を振り返ると意志力はアップする

自己コントロールを高めるために必須の力が自己認識力です。意志力を発揮するためには、いま自分がどんな選択をしようとしているのかはっきりと意識することが大事なのです。

「自分がいつ目標を達成するための選択、あるいは妨げてしまう選択をしたのか」を分析してみましょう。そのように自分の選択を振り返って意識することで、いい加減な選択の数が減っていきます。それにより、意志力は確実にアップします。

第1章 やる力、やらない力、望む力

経験からわかると思いますが、意志力を無理やりコントロールしようとしてもうまくはいきません。むしろ逆効果なときすらあるくらいです。大切なのは無理やり自分と戦ったりせず、自分の存在を受け入れることです。戦うのではなく注意を向ければ、意志力を高めることができます。

▼ちなみに、私は常にタスク管理ツールに何時何分になにをやっていたか、そのときなにを感じていたか記録するようにしています。その方法は以下の記事にまとめています。

意志力の限界は超えられる

疲労はもはや肉体で実際に起きているものと考えるべきではない。むしろ、感覚や感情というべきものだ

第3章 疲れていると抵抗できない

意志力を使うと体に疲労が溜まり、もう動けないと感じます。しかし実際にはこれは本当に意志力を使いきってしまったのではなく、意志力の限界がきたと錯覚しているだけなのです。エネルギー消費量の多い活動をしようとすると、まだ余力があったとしても脳がブレーキをかけてしまうのです。

この仕組みが分かっていると、疲れたときにそれを超えることができるようになります。疲労を感じても、それが実際の限界でなく思い込みに過ぎないことが分かっていれば、自分が思っている以上の意志力を発揮できるようになるということです。

良いことをすると悪いことをしたくなる

モラル・ライセンシング効果というものがあります。これは、よいことをするといい気分になって、その反動で悪いことをしたってかまわないと思ってしまう現象です。

意志力の対象をモラル的(道徳的)な善悪で判断しようとすると、このジレンマに陥ります。1度間食を我慢したことで自分を褒めると、バカ食いするリスクが高まるということです。午前中に一生懸命がんばると、午後はだらけてしまう可能性が高まります。がんばった自分へのご褒美ってやつです。これでは一歩すすんで二歩下がるような結果になります。

もっと悪いのは、しようと考えただけでこのモラル・ライセンシングに陥るということです。つまり、ボランティアしている自分を想像しただけでいい気分になり、普段は我慢していた衝動買いをしやすくなってしまうのです。

道徳的に正しいかどうかで判断しようとすると、相反する行動をとるリスクが高まります。「やりたいこと」を「したほうがいいこと」だと思うと、「やってはいけないこと」をやりたくなってしまうのです。言葉にするとわけが分かりませんが、心当たりはあるはずです。

この問題の解決法は「なぜ」を考えることです。進歩した結果を考えるのではなく、努力する姿勢に注目します。そして、道徳的にではなく、自分が「なぜ」それをやっているのかを考えればモラル・ライセンシングから抜け出せるのです。

本書の力強い一節を引用しましょう。

モラル・ライセンシングのワナにはまらないようにするには、「ありのままの自分が最高の自分になることを望んでいる」のだと、そして、「自分自身の価値観に従って生きていきたい」のだと、しっかり自覚する必要があります。

第4章 罪のライセンス

▼モラル・ライセンシング効果について詳しく知りたいときは、以下の動画にまとめましたので、ぜひご覧ください。

報酬の「予感」に振り回されていないか?

思わずどきりとした話があります。それは、ドーパミンの働きについて書かれていた箇所です。ドーパミンには期待を高める働きがあります。そして、実際に喜びが得られるまでその期待に集中させられます。ポイントはドーパミンが与えてくれるのは「喜び」ではなく「期待」である点です。

ドーパミンが放出されるとなにか良いことがあるという「期待」を感じます。これは飽くまで期待なので、もうちょっとで気持よくなれそうという衝動に振り回されることになります。

そして、いま私たちにドーパミンを大量に放出させてくれているのがパソコンとスマホでしょう。メールやTwitterやFacebookなどのSNSはその筆頭です。新着のお知らせがあるとドーパミンが放出され、なにか良いことがあるのではないかという「期待」に胸を踊らせます。しかし「期待」と「喜び」は違うので、なんらかの喜びが得られるまで延々とインターネットの海をさまようことになるのです。

ゲームが辞められないのもこのドーパミンの効果によるものです。あともうちょっとでレベルがあがるかも、次は良いアイテムが手に入るかも、次はもっと良いスコアが出るかも、といったドーパミンの働きによってゲーム依存症に陥るというわけです。実際、ゲームのやり過ぎで死者が出ているほどです。

自分が日常的にどのようなものによってドーパミン放出が引き起こされ、どのようにドーパミンの働きに従っているか自覚すると、このような無限ループから抜け出すことができるでしょう。

ストレスを抱えていると欲望に負けやすくなる

ストレスを感じると、脳はとにかく気が晴れるようなことをさせようとします。効果的な気晴らしの方法を理解して実践できていれば良いのですが、ストレスに襲われているとそのような思慮分別を失いやすくなり、目の前の欲望に飛びつきやすくなります

そしてもう1つ似たようなメカニズムとして、人は死の恐怖を感じると、無力感を打ち消そうとする衝動が生まれます。自分がいつか死ぬ運命にあることを思い出すとき、ありとあらゆる誘惑に負けやすくなるのです。楽しい気分になれるものに飛びついて、ホッとしたくなるのです。これを「恐怖管理理論」呼ぶそうです。

これのなにが厄介かというと、テレビもインターネットも死の恐怖を煽るような情報が日常的に飛び交っていることです。ニュースでは連日のように死亡事故を放送しています。そして、もしその後に人の衝動を煽るようなCMが流れたらどうでしょうか。あっさり誘惑に負けてしまうかもしれません。

そして一度誘惑に負けてしまうと歯止めがきかなくなります。「どうにでもなれ」と自制心を失うからです。

意志力の強さは伝染する

私たちは良くも悪くも周囲の人から影響を受けています。機嫌の悪い人を見ると自分も機嫌が悪くなってくるものですし、明るい人を見ると自分も明るい気分になってくるものです。

これは意志力でも同じことがいえます。衝動に負けやすい人と一緒にいると自分も衝動に負けやすくなり、自制心の強い人と一緒にいると自分の意志力も高まるのです。

社会的流行は、地域の区画などおかまいなく、互いに尊敬し合い好意をもっている人たちのネットワークを通じて広まっていきます。

(中略)

いちばんいいのは、あなたができるようになりたいと思っていることを習慣にしている人たちに出会うことです。あなたが見習いたくなるような新しい”仲間”を見つけましょう。

第8章 感染した!

これは希望のある発見です。意志力を高めるために孤独に筋トレを続けるようなことはしなくて良いということですから。意志力を高めたいなら、意志力を高めるチャレンジをしているコミュニティに入り込むのが手っ取り早いということです。意志力の高さは感染するからです。

自分がどのように自制心を失っているかを知る

本書を読むと、意志力というもののメカニズムが分かってきます。そして、安易に自分は怠け者だからとか、いまはやる気がないからといった思い込みに逃げ込むことなく、現実的な打開策を打てるようになります。

自分がどのように自制心を失ってしまうのかを理解し、自己コントロールを取り戻すことができれば、成功への戦略を練ることができるでしょう。

生活に大きな変化をもたらしてくれる一冊です。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。