夢を現実化するには文章化のプロセスが欠かせない

私の愛しいアップルパイへ

この愛すべきブログを開設してから5年と少しが経ちました。5年間でこのブログに投稿した記事だけでも1,300記事を越えました。加えて、他のメディアへの寄稿や電子書籍の執筆なども行ってきましたから、文章量はなかなかのものになるはずです。

それまで私は文章を書く習慣がまったくなく、文章を書くのは苦手だと思っていましたから、そう考えると大変変化です。学生時代、私が最も苦手としていたのは作文だったのですから(そしてあの憎き読書感想文!)。

にも関わらず、今ではこうして毎日のようにあなたへ文章を送り届ける偏執狂的な行為を続けられるようになったのは、文章を書き続けるなかで「夢を現実化するには文章化が欠かせない」と実感し、このプロセスは必要不可欠であると確信を得たからです。

頭の中の論理の飛躍には気がつかない

昔、初めてギターを握った中学三年生の頃から、サラリーマンとして働くかたわら音楽家としての成功を目指していた25歳まで、私の戦略は実に単純かつ常識的なものでした。

  1. オリジナルソングを作る
  2. (1)で作ったソングを中心にライブハウスでライブをする
  3. (2)を通じてバンドに合ったファンを獲得する
  4. ライブを繰り返して新しいファンを増やしていく
  5. 知名度が上がって業界内で名が知られるようになる
  6. 口コミを受けてメジャーレーベルと繋がったプロデューサーがライブを観にくる
  7. (6)のプロデューサーによるバックアップを受けて、メジャーレーベルからCDをリリースする
  8. さらに知名度が上がってテレビを中心にマスメディアでの露出が増える
  9. さらにファン層が広がって武道館でライブできるようになる
  10. CD、ライブ、グッズによる収益だけで生活できるようになる
  11. CDの売り上げがミリオンセラーを達成する
  12. 海外での知名度が上がり、世界的に広く知られるようになる
  13. ロックの殿堂入りを果たす

これは多くの先人たちが通ってきたであろう現実的かつ定石通りの戦略だと私は信じて疑いませんでした。CDを作って、ライブを演って、ファンを獲得して、知名度が上がって、あとは階段を登るだけ。これが一番堅いやり方だって思っていたのです。

しかし、実際に手をつけてみたらどうだったでしょうか。順調だったのはCDを作ってライブをするという最初の2ステップだけ。その後は一向にファンが増えることはなく、バンドは徐々に擦り切れていきました。

「ガッデム!世の中の奴らってのはなんでこうも揃いも揃って見る目がねぇんだ!」

いつしか私はこのような歪んだ思いを抱くようになっていました。

私は中学生時代ならまだしも、私は25歳に達してもなおこのような安易かつ幼稚な戦略に疑問を抱くことすらありませんでした。いつまでも「俺は正しい!間違えているのは社会だ!」という妄想にすがりついていたのです。

文章化を通して自分の頭の中の論理の飛躍に気がつく

ご想像の通り、当時の私のバンド運営はうまくいきませんでした。結局、最初の2ステップを達成したまま成功の階段を登ることはできませんでした。

バンド活動を挫折してから約1年、私はすべてをゼロからやり直そうと決意しました。私がいま正しいと思っていることを一度すべて疑ってみて、いままで食わず嫌いしていたことも試してみようと思ったのです。

その時に始めた様々な実験のうちの1つがこの愛すべきブログでした。もともと文章を書くことに苦手意識がありましたから、それまでブログというものを真面目に運営しようなんて思いもしませんでした。

幸いなことに当時の私は失敗続きだったこともあり、「何が正しいかなんて分からないのだから、できることは全部やってみて様子を見てみよう」と思えたのです。結果はビンゴ!ブログは私に素晴らしい変革をもたらしてくれました。

それからは驚愕の日々でした。ブログで自らの思考を文章化するプロセスを経て、いかに自分の頭の中が論理の飛躍と、都合の良い解釈で溢れていたかを実感したからです。

同じくらい愕然としたのは、いままでいかに思考と言動と行動が乖離していたかを思い知らされたことです。Aと考えているはずが、Bと言っている。Bと言ったはずが、Cをやっている。そんなことが日常的に行われていたのです。

オーマイガッ!何度そう叫んだことでしょうか。

頭の中では明確な判断基準だと思えていたことも、常識的で定石通りで手堅い戦略だと思えていたことも、思考の断片はどれも文章に書き出してみると根拠が薄弱でおよそ使い物にならないガラクタばかりだったのです。

先ほどお話ししたバンドの戦略もその1つでした。曲を作ってライブを演ってファンを獲得する。それぞれのプロセスがいかに飛躍していたかが、ようやくわかったです。なぜ曲を作ろうと思ったのか?なぜ曲を作ったらライブで演奏しなくてはいけないのか?そして、なぜライブを演ったらファンが増えるのか?

どれも論理的な飛躍ばかりで、とても戦略と呼べるようなものではありませんでした。ブログを通して、文章化のプロセスを経ることでようやくそういったことが1つ1つ整理できていったのです。

100記事を超え、200記事を超え、500記事を超えた頃でしょうか。ようやく私のなかで思考と言動と行動が整理されはじめたことを感じました

「夢を現実化するには文章化が欠かせない」と確信したのはこの頃でした。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。