決意を新たにするのは無駄ではない。新たに決意する方法・知識・技術を知らないだけなのでガチで解説する

私の愛しいアップルパイへ

決意を新たにするのは無駄だから、時間配分やら人間関係やら住む場所やらの環境を変えなさいといった箴言が極東のホモ・サピエンス界に蔓延していることはご存知でしょうか。

社会主義の伝道者然と声高らかに謳うこの言説を聞くたびに、一定の同意はしつつも、どこか拭きれない違和感を覚えていたのはあなただけでなく私も同じです。

かくして私は決意を新たにする効果や方法についてここに書き記そうと思い立ちました。なんたる華やかなる閃き!!!

決意こそが数々の偉大な事業を成し遂げてきた

少々周りくどいかもしれませんが、まずもって思い出していただきたいのは決意の力がこれまで数々の偉大な事業を成し遂げてきたということです。これは事細かに説明しなくともあなたならご理解いただけることでしょう。

素晴らしい発明も、素晴らしい芸術も、素晴らしい革命も、そのほとんどが確固たる決意こそ第一運動として人を行動へ突き動かしてきたことは言うまでもありません。

また、これまでに出版されてきた数々の成功哲学においても、あらゆる行動に先立って湧き上がる決意の力の重要性が力強く説かれてきました。「原因と結果の法則」「思考は現実化する」「引き寄せの法則」「7つの習慣」などなど例に事欠きません。

果たして、彼らほどの素晴らしい知性に満ち溢れた数々の著者たちが、決意が現実的には何ら力を発揮することのない空中にそびえ立つ楼閣の如きものに過ぎないにも関わらず、分析・証明・説明しがたい現象を決意という便利な言葉によってお茶を濁そうとしていたのでしょうか。私はそうは思いません。

とはいえ、決意によって素晴らしい力を得られる人もいればそうでない人もいます。その違いは何なのでしょうか?(ヒント:性格の問題ではない)

新たな決意を維持することが難しい

なぜ決意を新たにするのが難しく、時には極論だとしても無駄だとすら表現されることがあるのかというと、新しい決意を維持するのが難しいからです。

決意を新たにするの言葉通り、新しい決意を携えようと思ったら古い決意が上書きする必要があります。しかし、すでに決意されていることは潜在意識に刷り込まれているので、決意を新たにしたばかりの頃には必要な時に新しい決意よりも先に古い決意の方が先に出てきてしまうこともしばしばあります。これではいくら決意を新たにしても元どおりです。

一年の初めに「健康のために禁酒しよう!」と新たな決意をどれだけ誓ってみても、仕事終わりの疲労困憊のなか同僚たちと居酒屋に入ったときに「短い人生のなかでは多少の不健康には目を瞑って、人間に許された享楽の自由を堪能しよう!」という古い決意の方が先に出てきてしまっては、新たな決意に基づいて禁酒するなど到底不可能だってことです。

さて、これで問題点が明確になったかと思います。つまり、決意を新たにすることには依然として強力な力が秘められていますが、その新たな決意を真の意味で身体にインストールし、いつでも新たな決意を引き出せるように維持し、古い決意を上書きすることが難しいのです。

多くの人は新たな決意を見出して満足してしまい、その新たな決意を維持しようとする努力をしないため、決意を新たにしても無駄にしてしまうわけです。

となれば、新たな決意を適切に維持し続ける方法が分かれば、あの決意のもたらす素晴らしい力を我々も使用することができるってわけです。

では、どうやって?

素晴らしい質問です。「では、どうやって?」はこの世で最も素晴らしい質問のうちの1つです。

いつ何時も新しい決意が先に出てくるように訓練する

新しい決意を維持するためには、当然のことながら意識的に新しい決意を思い出せる必要があります。そもそも新しい決意がなんであったかを思い出せないようであれば、決意を維持することなど空中に花を咲かせるくらい不可能なことです。

その上、無意識的にも新しい決意が自然に思い出せるよう定着させる必要があります。寝ぼけまなこのうちに他人から新しい決意を問いかけられても即答できるほど、決意を身に染みさせる必要があります。ときに強烈な体験が人の行動を変えてしまうのはこういうことなのです。

目を瞑るとすぐそこにその時の状況が細部に渡って具体的に思い出せるくらい強烈な体験が決意を新ためさせたときには、決意をもとに行動指針が変わり、人生を一変させてしまうことがあります。これは具体的な体験とイメージを通していつでもどこでも無意識にでも決意が思い出せる状態になったがゆえに、決意を維持できるようになるからです。

飲酒による泥酔状態で帰宅中に、急に車道に飛び出してしまい車に轢かれそうになってリアルに死を感じる体験をしたのであれば、あっさり禁酒が成功するかもしれません。このような体験は「健康のために禁酒しよう!」と誓うよりもずっと決意の維持と定着に貢献します。その時の車道を歩く感覚、目に突き刺さるヘッドライトの光、耳を擘くクラクションの音など、五感に刻まれた体験の記憶がいつでも決意を思い起こさせてくれるからです。たとえ仕事終わりに同僚と居酒屋に入ったとしても。

問題はこのような劇的で強烈な体験が伴わない決意の場合でしょう。それこそ「健康のために禁酒しよう!」のように、衝動に負けそうな時でも思い出せるようなフックの少ない決意をどのように維持・定着させればいいのでしょうか。

それは決して不可能なことではありません。ただ、決意を維持するための継続的な訓練が必要になります。そしてそれは、習慣的な行動によってのみ実現できるものです。

決意を新たにする6つの方法

ここからは新たな決意を維持し、定着させるために役立つ習慣をご紹介します。

今日お話しすることを複数取り組めばそれだけ決意の維持と定着は容易になるでしょう。とはいえ習慣化には相応の難しさが伴いますから、相性の良いものから1つずつ取り組んでみるのも良いでしょう。

1.決意を文章化する(ミッション・ステートメント)

まずもってオススメしたいのは、新たな決意を文章化していつでも読み返せるようにすることです。

第一に、文章化のプロセスを経ることで頭の中が整理され、決意がより明確になります。

第二に、文章化されていればいつでも読み返すことができるので、その文章を参照すれば決意を新たにした時の気持ちが思い出せるようになります。

この洗練された方法として、我々のような夢想家にとっての永遠のバイブル「7つの習慣」では、第二の習慣として「ミッション・ステートメント」の作成が推奨されています。

ミッション・ステートメントは個人的な憲法とも表現されるもので、自らの決意を文章化したものを指します。「7つの習慣」はミッション・ステートメントのパワフルな効果から書き方まで解説されているので、ご興味あれば是非読んでみてください。

→本書の解説はこちらの記事をご参考にどうぞ

2.アファメーションを行う

アファメーションとは深層自己説得とも表現されるもので、自己暗示に近い効果をもたらします。

特に、新たな決意を定着させ、行動指針を一変させるアファメーションの魔力について説いた本としてナポレオン・ヒル氏の「思考は現実化する」が知られています。

ナポレオン・ヒル氏が説いたアファメーションのやり方は簡単で、文章化された願望や決意を毎日音読するというものです。音読には素晴らしい力が眠いっています。文章を目で読んで、口で表現して、耳でもう一度聴くことになるからです。五感を使うのでよりパワフルなアファメーションが実現できます。

アファメーションは潜在意識に働きかけることができるため、アファメーションによって決意を潜在意識に定着させれば行動を変えるのは容易いのです。

ナポレオン・ヒル氏によれば、このときに1つ面白い前提条件があります。それは、潜在意識に働きかけたいと思うのであれば、事前に感情をプラスの刺激で満たしておく必要があることです。希望や情熱、愛情などのプラスの刺激によって感情を満たすことは、潜在意識への受信機となるそうです。

逆に不安や恐怖といったマイナスの刺激によって感情を満たしていると潜在意識へのアクセスが難しくなり、決意や願望によって潜在意識に働きかけることができなくなるそうです。

3.具体形な実行計画を作る

決意が明確な目標に変換できるのであれば、その目標を達成するための具体的な計画を作ることも決意を維持するために役立ちます。

計画は未来の予測を立てたり、予定通りに仕事を終わらせたり、上司への説明のために作ったりするよりずっと深遠なる価値があります。それが具体的な行動のプロセスを整理するとともに実行のイメージを形成することによって、決意を強固にすることができる点です。

決意というのは、実現できると信じていなければ何の価値もありません。計画を作成し、進捗を確認し、更新するプロセスは決意したことが現実的に実現できるという信念を持つためにパワフルな効果を発揮します。そして、そのような信念を持っていればこそ決意に基づいた行動が可能になるってわけです。

4.決意に基づいた日々の行動を日記に残す

ここまで説明してきたのは理想を行動へと定着させる「トップダウン」のアプローチでした。ここでは「ボトムアップ」のアプローチについても考えてみます。

新たな決意を定着させる上で障壁となるのは理想と現実にギャップを感じる場合です。理想として荘厳なる決意を掲げたものの、実のところ現実的にそのような行動は一切起こせていないと自分が感じる場合、決意の力は徐々に弱まっていきます

決意の力は信じる量に比例します。新たな決意を信じればそれだけ決意に基づいた行動が促進され、決意に疑念があるようではその力は弱まります。禁酒の決意が破られるのは「一杯くらいなら健康に害はないのではないか?」と言った疑念が湧き上がったときなのです。

そこでオススメしたいのは、新たな決意に基づいて起こした行動を記録に残しておくことです。新たな決意を抱いたものの、実際にほとんど行動を起こせなかったと感じるのは、大抵の場合は妄想です。ただ覚えていないだけなのです。

一日の終わりに、日記を書くように新たな決意に基づいて行動に移したことを記録してみてください。どんな些細な行動でも構いません。たった1分のことでも、たった1秒のことでも構いません。その記録を積み重ねてみると、決意が今までとは違った行動をどれだけ促進しているかが正確に分かります。

そして、決意の力が実際に行動を変えるというエビデンスが増えるにつれ、決意の力を信じられるようになっていきます。このスパイラルはマイクがハウリングする時のように、少しずつ少しずつ実際的な力を増して、ついには巨大なパワーを発揮してくれるでしょう。

▼以下の記事ではこのような効果が見込めるシンプルな日記メソッド「4行日記」を紹介しています。こちらもご参考にどうぞ。

5.新たな決意に基づいた「セルフストーリー」を持つ

上述したとおり、新たな決意を機能させるには思い出しやすいことが大切になります。新たな決意を文章化して丸暗記してしまうのも良いですが、さらに効果的な方法があります。それは新たな決意を物語として整理することです。

物語には人の決意を掻き立てて行動へと突き動かす神秘的なパワーがあります。物語を通して物事を理解すると、まるで劇的かつ決定的な体験を自らがしたかのように感じることができ、強く記憶に粘りつくのです。

宗教は物語を通して人を導きます。会ったことも見たこともない他人の物語がこれほどまでに人々を魅了し、行動指針になっていることを考えると、自分についての物語(=セルフストーリー)ならばさらに強力に働くことは想像に難しくありません。

自分の新たな決意が生まれた背景を物語として文章化し、記憶に留めておくことは決意に基づいた行動を促進してくれます。私のオススメは新たな決意に基づいて生まれてから現在までの自分史を作ってみることです。

自分の今の決意と照らし合わせながら自分史を作ってみて、セルフストーリーとして決意の物語を持つことは新たな決意を維持・定着させるために有効に機能するでしょう。

▼自分史のパワーについては以下の記事でも紹介したので、さらなる詳細はこちらの記事もご参考にどうぞ。

6.決意の力について継続的に学ぶ

決意のパワーというのはまだほとんど解明されていませんし、全貌が論理的に説明できるものでもありません。決意に関する知識は多岐にわたり、使いこなすには継続的な学習が必要不可欠です。

そして、そのような決意に関する継続的な学習をすること自体が決意を強め、決意に基づいた行動を促進してくれます。

決意のパワーについては様々な本で解かれていますが、特にオススメの書籍としてここでは三冊ほどご紹介しておきましょう。

→本書の解説はこちらの記事をご参考にどうぞ

→本書の解説はこちらの記事をご参考にどうぞ

▼また、以下の記事で紹介した書籍の多くに決意がもたらす深遠なるパワーが触れられています。こちらもご参考にどうぞ。

決意を新たにする適切な知識と技術を身につける

今日は決意を新たにする適切な方法についてお話ししてきました。決意にはまったくもってパワフルで神秘的な力が秘められており、その力を少しでも軽んじるのは人生における大きな損失につながりかねません。

ここで大切なのは、決意は誰しもが持ち合わせている素晴らしい能力に違いありませんが、決意の力を適切に引き出すためにはコツが必要だってことです。もしその方法を知らずにいるのならば、口輪をつけられた猛獣みたいなものです。

決意に関する知識と技術を身につけ習慣化することができれば、クリプトンから地球に舞い降りたときのように驚くべきパワーを得られるでしょう。

私の言い回しは少々くどいかもしれませんが、我が知恵を正しくお伝えしたいという気持ちは本物です。

かのホモ・サピエンスが天から与えられし素晴らしい能力たる決意の力を軽んじたり、決意を新たにするのが無駄などといった妄言に惑わされないようにするために、この僭越なる我が文章が役立ったなら幸甚の極みであります。

貴下の従順なる下僕 松崎より

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システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。