無計画に脱サラしたら襲ってきた7つの不安を突破できたときの話〜(終)「まだはやい」も「もうおそい」もクソ食らえだ!〜

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私の愛しいアップルパイへ

前回まで、私が脱サラ時に抱えていた不安をいかにして突破したかを1つ1つ丁寧にお話しました。長い間よく付き合ってくれたものです。

「それで、最後に何か言いたいことはあるかしら?」ですって?ハッハ!そりゃあ、ありますよ!

「まだはやい」も「もうおそい」もクソ食らえだ!

職業柄、諦めきれない夢を持った人たちによく会います。いえ、実際は誰もが心のうちには諦めきれない夢を抱えているのでしょう。そんな中で私のことを心底ガッカリさせる言葉が2つあります。「まだはやい」と「もうおそい」です。

「実績がないから、まだはやい」「経験が必要だから、まだはやい」「こんな歳だから、もうおそい」「家庭があるから、もうおそい」なんて、クソ食らえってもんです!

これは生まれてから最初の25年間、私自身がずっと口癖にしていたことなので余計に腹がたちます。「夢を1つに絞るのはまだはやい」「音楽学校にいくのはまだはやい」「バンド中心に生活するのはまだはやい」「20歳も過ぎたからもうおそい」「会社員だからもうおそい」

とにかく、ここまでの話で私が言いたかったのは、「まだはやい」とか「もうおそい」なんてことは絶対にないということです。あるのは「いまだから」です。なんだってやりたいことがあるなら、「いまだから」こそやらないと!

自由に動けるいまだから!今までの経験を活かせるいまだから!

5年前に置いてきた「もうおそい」の話

バンド解散

8年前、20歳でシステム屋として就職するのとともに、1つのバンドを結成しました。夢と仕事の狭間で「ここは自分の居るべき場所ではない」「自分はまだまだこんなもんじゃない」と思いながら生きていた私にとって、このバンドは当時唯一の生きがいでした。

あなたのご想像どおり、残念ながらこのバンドは幸せな結末に辿り着けませんでした。バンドになかなかファンは付かず、ライブハウスに払うノルマで赤字つづき。お金が必要なのでシステム屋の仕事も辞められませんでした。むしろ、もっと良い機材や環境を望むなら、システム屋としての収入をのばす必要がありました。

私は「会社員としての安定があるから好きなことを続けられるのだ」という訳のわからない現実逃避によって自分を欺くのが精一杯でした。それでも大好きなことに没頭できていない状況は少しずつ私を擦り減らし、その足取りは少しずつ重いものになっていきました。

バンドの解散は結成から3年後。いまから5年前で私は23歳でした。当時の私はすっかりサラリーマン思考に毒されてしまい、「もう20歳も過ぎたから」「もうサラリーマンだから」「自分ではもうおそい」という諦念の気持ちでいっぱいでした。

最後のライブのことは今でもよく覚えています。新宿の地下一階にあるライブハウスでした。会場は当時の私の心境を投影したかのように、壁もステージも全面が真っ黒のライブハウスでした。最後のソングが終わって幕が締まったときに私が感じたのは、楽しさでも寂しさでも達成感でもありませんでした。

出番が終わってつなぎのBGMが始めるまでのつかの間、私が感じたのは今まで感じたことのないような飛びっきりの惨めさでした。「好きなことすらロクにできやしない」って。

「まだはやい」と「もうおそい」を「いまだから」に変えろ!

おお、哀れなるかなjMatsuzaki!思えば小学生のころに見た夢は「まだはやい」という呪文とともに先送りされ続け、自分でも気づかないうちに「もうおそい」に変わっていました。私の夢は飛び立つことも知らないまま、情熱に炎も灯りきらないうちにホコリまみれになってしまったのです。

バンド解散から1年ほど失意の日々を過ごし、2年目にはとうとう夢を諦めようと思い立ちました。叶うことのない夢のために胸を引き裂かれるような思いをし続けるのは限界だったからです。

それから人生で最も長い1週間を経験しました。あれこれと理由をつけて、あれこれと理屈をこねくり回して、あの手この手で夢を諦めようとして、諦めようとして、諦めようとして、、、どうしても諦めきれなかったのが音楽の夢です。

振り返ってみれば、好きなことすらロクにできやしない鬱屈とした人生のなかで、この夢こそがただ一つの支えだったからです。

私は25年もの間、この甘美な夢を安易に放り投げてきた自分に心の底から怒りを感じました。そして、いまだからこそ諦めきれない夢へと向かう最後の悪あがきを始めるべきだと決意しました。

そうして立ち上げたのがこの愛すべきブログ「jMatsuzaki」です。忘れもしない今から3年前、25歳の夏のことです。

あとはあなたのご存知の通りです。最初に取り組んだのは音楽活動ではなく、私自身の再構築でした。25年間の失敗を振り返って、夢へと向かう前に夢に相応しい自分を作る必要があると気づいたからです。

3年かけて思考や習慣をそっくり入れ替えて、会社も辞めて仕事もそっくり入れ替えました。そして今に至ります。

「それで、これからどうするの?」ですって?良い質問です。その質問に答える準備はもうできています。

5年前に置いてきた「もうおそい」の続きを「いまだから」はじめる

jMatsuzaki_band

レディース エァーン ジェントルメァーン!ボーイズ アーンダ ガールゥズ!

私めは!このjMatsuzakiめは!なんとも不遜なことに!5年前にステージの上に置いてきた「もうおそい」の続きを、いまだからこそ始めることに決めました!ニール・ヤングもこう言ってます。「錆びつくくらいなら、いま燃え尽きたほうがいい」って。

バンド名はもう決めました。その名も「jMatsuzaki」です。このバンドは私自身の生き様の投影であり、私自身の情熱の噴火に他ならないからです。

あなたはついさっき私が言ったことを覚えていますでしょうか。「まだはやい」も「もうおそい」も絶対にないんだって、私はそう言ったのです。

それをいまから私が!手品使いのごとく!この手でみごとに証明してみせようではありませんか!!!

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。