無計画に脱サラしたら襲ってきた7つの不安を突破できたときの話〜第五の不安:生活できるだけのお金も稼げなかったらどうしよう?〜

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photo credit: Steven Vance via photopin cc

私の愛しいアップルパイへ

私が脱サラ直後にかかえていた不安は先ほどお話したとおり7つありました。

次は第五の不安である「生活できるだけのお金も稼げなかったらどうしよう?」を私がいかにして突破したかに入っていきましょう。

  • 1.無償で請け負った仕事が育たなかったらどうしよう?
  • 2.出版などお金になる企画が通らなかったらどうしよう?
  • 3.ブログの愛読者が増えなかったらどうしよう?
  • 4.人が私の商品にお金を払ってくれなかったらどうしよう?
  • 5.生活できるだけのお金も稼げなかったらどうしよう?
  • 6.大好きなことに割く時間がとれなくなったらどうしよう?
  • 7.個人事業主を続けられなくなったらどうしよう?

脱サラして半年も経たずに貯金が尽きて実家へ戻る

驚くべきことに、2012年の9月末に脱サラして、翌年2月には貯金が尽きて実家へ戻ることにしました。たったの半年ももたなかったわけです。このときの悔しさは今でもよく覚えています。

不思議なことに、当時は仕事が一杯ありました。むしろ今より忙しかったくらいです。羽化するために地上に出てきたセミみたいに、一日中マンションの片隅にへばりついて働きました。それで、実績とともに収入は右肩上がりに増えていくはずだと楽観視していましたが、収入は一向に増えませんでした。

3ヶ月が経った頃にはさすがに焦り始めました。間もなく家賃が払えなくなるからです。ここからは試練の時でした。

最初に崩れたのは睡眠リズムでした。夜は不安のために寝付けなくなり、朝は現実逃避のために起きれなくなりました。それでも昼前にどうにか起きてきて、なんとも言えない罪悪感と焦燥感の中で一日を過ごすようになりました。

次に、一人で居るのが苦痛になりました。一人で作業していると、不安と恐怖に襲われて目の前の仕事にまったく集中できなくなりました。孤独は惨めな気分をいっそう強めました。脱サラする前は一人で作業するのなんて何の苦もないどころか、進んでそうしていたのに。

それから、食欲がどんどん減っていきました。食べることにすら集中できなくなって、どんな食事も美味しくありませんでした。白いご飯がまるでゴムのように味気なくて吐き出しかけたとき、実家に帰ろうと決意しました。

「よく、前の会社に戻りたいとも思わずに頑張れたわね」ですって?ノンノン、前の職場に戻りたいと願ったのは一度や二度ではありませんよ。このときばかりは「せめて半年だけでも退職日をずらせば良かった」なんて、いま思えば無意味で不毛な後悔を毎日していました。

「何をやるか」と「どう売るか」はまったくの別物である

脱サラ直後、この愛すべきブログからの収入は毎月3万円以下でした。出版企画は思ったように進まず、企画を通す段階で足踏み状態が続いていました。

セミナーでは比較的まとまった収入がありましたが、それでも毎週開催しないととても生きていけない金額でした。また、セミナーは作業負荷は高く、時間も多くかかりました。終わった後にはヘトヘトになってしまい、とても頻繁に開催するサイクルは作れませんでした。

このとき、忙しいのに収入は一向に増えないおかしな状態にもかかわらず、私はただ「いまよりもっと頑張らないといけない!」と思いながら我武者羅に生活していました。結局のところ、頑張っていればお金は入ってくるというサラリーマン的思考から抜け出せていなかったのです。

そんな私を知ってか知らずか、当時同じプロジェクトに参画していたカウボーイから1つの本を譲ってもらいました。それが「そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか」という本でした。

前回お話したとおり、脱サラ直後はお金を稼ぐことになんとも言えない罪悪感めいたものを抱いてたのですが、この本をきっかけにお金の稼ぎ方について真剣に考えはじめました。

最初に衝撃を受けたのは、この本の冒頭で書かれていた「何をやるかとどう売るかはまったくの別物である」という主張でした。まさに私は「何をやるか」だけに注目して「どう売るか」をよく考えなかったため、我武者羅に頑張っているのに楽にならない状態に陥っていたのです。

「どう売るか」を練り直して立て直しを図る

悔し涙を飲んで実家に帰った私は、この本を読み解きながら自分の働き方をゼロから見なおしました。先入観もすべて取っ払い、「どう売るか」について真剣に考えはじめました。思えば、どうやってお金を稼ぐかを真剣に考えたのはこのときが初めてでした。

私はこの本で紹介されている5つの領域を自分に当てはめ、1つ1つ実験しながら働き方を再構築していきました。こんな風にです。

顧客を変える

私は個人の方ばかりを視野に入れていましたが、それ以外にも「企業」と「国」という顧客がいます。

私は企業の運営するWebメディアで連載を持ったり、雑誌の取材を受けたり、ブログ運営のノウハウを活かして企業のメディア立ち上げを支援したりする仕事を始めました。ときには人づてに紹介してもらって、国家機関へのインタビュワーの仕事を請け負ったこともあります。

最初は顧客を変えるだけで収入源がかなり多角化できて驚きました。

サービス・商品を変える

商品を変えるという手もあります。それまでは自分のブログから広告収入を得つつ、興味を持ってくれた読者にはセミナーに来てもらうという流れが主な働き方でした。

この本を読んでからは、電子書籍を出版する、有料コミュニティを運営する、講演動画を制作する、オンライン講座を運営する、それら複数を組み合わせるなど、様々なサービスや商品を作りました。

これらによって、1つの仕事から複数の収入源が生まれたり、ブログ以外でのPR効果があったり、オンラインでできることが増えて時間が豊かになりました。

課金方法を変える

私は商品やサービスを提供するごとにお金を払ってもらうスポット的な課金にばかり目が行っていました。実際にはそれ以外にも月額の継続課金や、成果報酬といったやりかただってあります。

私は特に、月額での継続的なサービスの提供をはじめて継続課金を増やすことに注力し、生活がより安定するようになりました。

支払い方法を変える

商品を直接売るときには現金のやりとりや口座振込以外にも、クレジットカードや電子マネーといった方法も考えられます。これらは、支払いが簡単なので商品を買ってもらいやすいという効果があります。

私は個人のECサイトを自ら立ち上げるなどして、Paypalやクレジットカードによる支払いにも積極的に対応するようになりました。

資源を変える

サービスの提供に必要な場所代や、様々な単純作業など、私はその多くを自分でどうにかすることばかり考えていました。

しかし、その会場の宣伝になるため無料で会場を提供してもらう、売上の数%を分け合うことで作業の一部を委託する、支援する代わりにこちらの作業も手伝ってもらう、といった資源調達の選択肢を増やすことで出費を抑えることができるようになりました。

2年目でサラリーマン時代の収入を超える

この見直しによって1つの収入が爆発的に増えたわけではありませんが、月数万円になる収入がいくつも増えました。実家に帰った直後はほとんど収入がない状態でしたが、半年ほどで体制を立て直して、また実家を出ました。それからもバランスを保ちながら重要度の高い仕事に徐々にフォーカスし、脱サラ2年目では前職の年収を超えました。

思想や信念や方向性はそのままに、どう売るかの選択肢を増やせば生活の基盤が築けることを体験して、とても心が軽くなりました。

結論をまとめます。

第五の不安:生活できるだけのお金も稼げなかったらどうしよう?

第五の不安の突破口

  • 「何をやるか」と「どう売るか」はまったくの別物である
  • 現在の商品やサービスを構成する様々な要素に着目し、別の提供方法ができないか考える
  • 理想や信念を曲げずとも、やり方を変えるだけで生活基盤を築くことはできる

かくして第五の不安は私の前に崩れ去ったのです。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。