ほんの小さな習慣から大きな成果を得る最強のメカニズム解説

私の愛しいアップルパイへ

また会いましたね。先日、私が興奮とともに「やめられなくなる、小さな習慣」を読んだことについてお話ししたのは以下の通りです。

やめられなくなる、小さな習慣のまとめと感想→小さな習慣の大きな威力が分かる良書!

取るに足らないと思えるような本の小さな習慣を起点として、人生に大々的な変化をもたらして大きな成果を得る方法について説かれた本書は実にエキサイティングなものでした。

今日は上記の記事の続編として、「やめられなくなる、小さな習慣」から大きな成果を得るために知っておくべきメカニズムについてお話ししましょう。これであなたも小さな習慣マスターへの道に一歩踏み出せます。

「やめられなくなる、小さな習慣」で大きな成果を得る6つのメカニズム

習慣の連鎖反応を活用する

小さな習慣がなぜ大きな結果をもたらしてくれるのか?その鍵は本書の以下の一節に詰まっています。

ただ何かを習慣化するだけでなく、習慣化によって全てを変えてしまうようにするにはどうしたらいいか?誰にも等しい24 時間を、最大限効果的に使うにはどうしたらいいか?

私の得た答えは習慣の連鎖反応というものでした。

やめられなくなる、小さな習慣 p.5

習慣の連鎖反応!なんて甘美な響き!

ある一つの小さな習慣が直接的に素晴らしい成果を引き寄せてくれることはほとんどないでしょう。しかし、依然として小さな習慣には素晴らしいパワーが眠っています。なぜなら、小さな習慣が他の良い習慣へと連鎖し、結果として素晴らしい成果を芋づる式に引き寄せることがあるからです。本書ではそれを習慣の連鎖反応と呼んでいます。

腕立てを毎日1回ずつ続けたからといってムキムキになれるとは思えません。しかし、習慣の連鎖反応を見込めばそれは可能なのです。

早寝したからと言って年収が1,000万円になるとは思えません。しかし、習慣の連鎖反応を見込めばそれは可能なのです。(ちなみにこれの極めて具体的な事例が本書に掲載されているので、そちらは実際に本書を手にとって確認してみてください。)

習慣化には報酬が欠かせない

「では、習慣の連鎖反応を起こそう!」で終わってはいけません。これはあくまでも始まりの終わりにすぎません。

「小さな習慣」を身につけることについて解説しているビジネス書・自己啓発書についても個人的には良書が多いと思います。少なくとも「明日から100億稼ぐようになる」といった趣旨より、「小さな習慣」は地味でも現実的であり、多くの人にとって福音となるでしょう。

ただ、「小さな習慣」は、あまりにも「小さな習慣を身につけよう」だけになりがちです。それが言うほど簡単でないという点を軽く扱いすぎています。

やめられなくなる、小さな習慣 p.29

そもそも習慣化が難しいのですから。そこで、本書では行動科学などの心理学の知見をベースに、小さな習慣を確実に身につけるためのコツが散りばめられています。

まず持って重要なのは習慣化には報酬が欠かせないことを知ることです。人は好きなことをやっているわけでもなければ、性格に合うことをやっているわけでもなく、必要なことをやっているわけでもなければ、ましてや重要なことをやっているわけでもありません。報酬のあることをやっているのです。

ですから、連鎖反応が期待できるような重要な習慣を続けようと思ったら報酬を作る必要があります(逆に止めたい習慣があるのなら報酬を特定して報酬を断つ必要があります)。

習慣化の報酬には様々なものがありますが、重要なのは「内発的な動機づけ」に頼ることです。

例えば、ジムに行ったら1つアメを舐めていいというような、習慣との因果関係が疎遠な“外発的な動機づけ“に頼っていると、なかなか習慣が定着しませんし簡単に途絶えてしまいます。逆に、習慣を実行すること自体によって有能感や自己効力感、自己肯定感や自尊心、習慣の連鎖反応による生活の質の向上や成長など、“内発的な動機づけ“を習慣の報酬として活用すれば、良いスパイラルを作れるでしょう。

オセロの隅となる習慣を探す

本書によれば習慣には3タイプがあります。

  1. トレーニング
  2. 日課
  3. 禁止

楽器の練習などは1のトレーニング、筋トレなどは2の日課、禁煙などは3の禁止にあたることになります。本書がユニークなのは、良いと思える習慣を闇雲に増やすのではなく、鍵となる習慣を見極めようと提案しているところです。本書ではそれを「オセロの隅」と表現します。

同じように習慣化するにしても、他の習慣にまで影響を及ぼすような習慣と、1つの習慣化だけで留まってしまう習慣とがあるのです。

当然ですが、他の習慣にも良い影響を及ぼして、連鎖反応を起こすような習慣化を選び抜きたいところです。

ちょうどオセロでスミを1つ黒くするだけで、それまで真っ白だった盤面をたちまちひっくり返していくような、そんな「スミとなる習慣」を選ぶことが大事なのです。

やめられなくなる、小さな習慣 p.51

オセロの隅を取り、小さな習慣の連鎖反応を起こして数々の良い習慣を引き寄せられます。それが雪だるま式に増えていって、結果的に大きな成果を引き寄せます。とはいえ、そんなに習慣が増えたら意志力が足りずにウンザリする結果になるのではないかと考えるでしょうか?

いいえ、その心配はありません。この回避方法を本書では「ロボット化」という言葉で説明します。例えば最初は自転車に乗ることに多大な労力を費やしたとしても、一度乗りこなせるようになったら自転車に乗るだけで疲労困憊にはならないでしょう。まるで自分の中に自転車操縦ロボットが作られるかのように。

このように、習慣は習慣化の段階ではある程度の努力は必要ですが、一度習慣化されればロボットが自動操縦してくれるかのようにわずかな労力で実行できるようになります。すると、自分では信じられないくらい複雑な習慣を数多く習慣化できるようになり、それが大きな成果へと繋がっていくのです。

注目すべき数値を見極める

それではオセロの隅を取るためにはどうすればいいのでしょうか?その鍵は数値化にあります

毎日の体重を量ってそれに注目するだけでダイエットに成功したり、毎日煙草を吸った本数を記録しただけで禁煙に成功したといった事例はたくさんあります。

意識的に注目するということは、必ず、注目した課題を満足させたいという意欲を生み出します。

(中略)

ですから、習慣化したいことがあったり、やめたい悪癖があるなら、注目すべき数字を見つけ出すことが本当に重要です。それができてしまえば、習慣化は8割方成功したも同然です。

やめられなくなる、小さな習慣 p.128

スポーツはもちろんのこと、レコーディング・ダイエットに代表されるように、記録を数値化することで望ましい結果を得る手法は数多くあります。

数値化によって進捗や達成度合いが分かりやすくなり「今日はいっか」といったことが起こりづらくなります。何より、状況を正確に把握できるようになるため、特に挫折しやすい習慣化の序盤の段階で良い緊張感が生まれるのが良いところです。

数値化したデータが溜まっていけば、オセロの隅が見つけやすくなることは言うまでもありません。数値を基準にすることで正確な調整が可能になりますし、習慣による連鎖反応の因果関係が分かりやすくなります

悪癖に流れるエネルギーをせき止める

数値化してオセロの隅となる習慣を見つけ、連鎖反応を起こすために何から手をつければいいのでしょうか?毎日天井に向かって100回ありがとうと言えばいいのでしょうか?

本書でその第一歩としてオススメされているのが悪癖を断つことです。

それまでずっと悪癖と、その悪癖の後始末に注ぎ込んでいたエネルギーを、ぜんぜん違うことに回していくことができます。そうすることができるから、他の習慣が半ば自動的に強化されていくのです。

やめられなくなる、小さな習慣 p.145

新しい習慣に取り組むまでに、まずは深夜のゲームや夜更かし、お酒やカフェインの多量摂取などの悪癖を断ってみましょう。悪癖へ流れているエネルギーをせき止めることで余裕が生まれます。その余裕によって他の習慣が自動的に強化されるわけです。

早寝が放射状に良習慣を連鎖させる

本書の良いところは最初に習慣化すると良い極めて具体的なアクションについて明確に論じてくれているところです。

まずもって習慣化すべきこととしてオススメされているのが早起きならぬ「早寝」です。もちろん結果的に早起きを推奨しているわけですが、早起きは早寝の連鎖反応として位置づけられています。

全ての行動パターンを、早寝→スッキリ起床→ずっとやりたかったこと、という流れに照準を合わせるわけです。これで生活習慣は確実に連鎖反応を起こし、一気に変化するはずです。

これはよく言われている「小さな習慣」です。「早寝」が難しくて複雑な習慣だという人はいないはずです。朝4時に起きようというのではありません。残業をゼロにしようというのとも違います。転職も、脱サラも、不要です。早く寝ればいいだけです。

にもかかわらず、個人的経験から言ってもこれがいちばん確実に自分の習慣を変えてくれます。失うものもほとんどありません。

やめられなくなる、小さな習慣 p.188

著者の佐々木正悟さんは21:30に寝ているそうです。そして、スッキリ起床したあとに「ずっとやりたかったこと」「ずっと気になっていたこと」に手をつけるようにして、すぐに早寝早起きの「報酬」を受け取るのだそうです。報酬を受け取るにあたっては日記がオススメされています。そうすることでより強く報酬の記憶が刻まれるからです。

こうして早寝と報酬をセットで設計することによって、夜更かしという悪癖に流れるエネルギーをせき止め、早寝という様々な良い習慣への連鎖反応が期待できる習慣に集中します。

ちなみに、なんと著者の佐々木正悟さんは数年前に「21:30に早寝する」という小さな習慣から始まる連鎖反応をきっかけとして、結果的に「年収1,000万円」という目標を達成されたそうです。21:30の早寝という小さな習慣が年収1,000万円に繋がるとは到底思いもよりませんが、小さな習慣の連鎖反応をもってすればそのくらいのことも可能なのです。

小さな習慣に取り組む大切さを思い出させてくれる良書

本書は日常ではついないがしろにしてしまいがちな小さな習慣の素晴らしいパワーを思い出させてくれる良書でした。

「習慣が人生に重要なのはよく分かってる。しかし、小さな習慣に取り組んだところ、はたして自分が望むような結果を手に入れるには一体いつになるのだろう…」。そんな不安で一歩も動けなくなりそうなときには特に有効な本でしょう。

今回紹介したものは本書の内容の表面をごく簡単に紹介したものでしかありません。是非とも実際に手に取っていただきたい本です。

人生を変えるために総理大臣を目指そうなどと大上段に構えなくとも、取るに足らないと思えるようなほんの小さな習慣を通して人生を一変させてしまう方法を教えてくれる、そんな希望の詰まった一冊です。

▼ちなみに、私も連載しているライフハック・メディア「CHANGES」では本書の著者である佐々木正悟さんが同テーマの連載を掲載しており、しかも現在無料で読むことができます。ですなので、さらなる詳細を知りたいなら以下の連載をお読みになるのがまずもってオススメです。

小さな習慣が人生を変える?

▼そしてもちろん実際に本書を手に取ってみるのが一番のオススメです。

貴下の従順なる下僕 松崎より

著者画像

システム系の専門学校を卒業後、システム屋として6年半の会社員生活を経て独立。ブログ「jMatsuzaki」を通して、小学生のころからの夢であった音楽家へ至るまでの全プロセスを公開することで、のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝えている。